巡礼の年

ネタバレ注意とかいいつつメモる
どんなに穏やかに整合的に見える人生にも、どこかで必ず大きな破綻の時期があるようです。狂うための期間、と言ってもいいかもしれません。人間にはきっとそういう節目みたいなものが必要なのでしょう。」

緑川には本物の才能があった。それに疑いの余地はない。彼の音楽には物理的に肉体的に、聴く者を動かす力が具わっていた。集中してその音楽を聴いていると、自分がどこか別の場所に運ばれていく紛れもない感触があった。簡単に生み出せるたぐいのものではない。